258、言葉

この世界に、私しか存在しないのならば「言葉」なんていらない。あなたに伝えたい「思い」があるからこそ「言葉」が必要だ。

しかし、何ページもの長文でも伝わらない思いもあれば、たった一行で伝わる思いもある。言葉の海から、いつもぴったり合った「言葉」をすくいあげることは困難だ。

人間は、よくもこんなに不完全な道具を創り出したものである。神によって与えられたものなら、完璧な道具だったに違いない。

また、私たちの頭脳がハードディスクなら、「1」と「0」の2文字で正確なコミュニケーションができるのかもしれないが、それでも1(真)と0(偽)に翻訳にできない「思い」もある。

「言葉にできぬ思い」と「不完全な言葉」とのペアリングの試行錯誤こそが言葉の歴史であり、人類と他の動物とを隔てる能力である。

さて、言葉の必要ない「祈り」で通じあえるあの世界に旅立つ前に、この世界の「言葉の謎」を解明してやりたいと思う。まずは、チョムスキー先生の言語獲得装置(LAD)について学ぼう。LADの仮説は、真か偽か?

(2020年11月9日@nortan)

コメントを残す