254、KAZU

53歳で現役プロスポーツ選手。ワールドカップへの悔しい思いが三浦選手のエネルギーになっていたとしても、こんなに長く続く筈はない。悔しさは一瞬燃え上がるが、その分、早く消えてしまうものだ。

15年程前、既に引退かとも言われていたKAZUの出場する試合を近くの競技場で観戦した。確か、後半に登場して、途中交替し、スタンドに大きく手を振りベンチに戻っていく姿だった。それから直ぐにJ1の舞台から身を引かれたと記憶している。

しかし、そこからが伝説の始まり。所属したチームの若手選手を育成しながら、自分自身も選手として表舞台に復活した。今でも、当時と変わらぬ練習量をこなしてきたと聞く。

15年ぶりにテレビのニュースで見たKAZUは、15年前と変わらぬ勇姿、サッカーを愛する男だった。半世紀近くもサッカーコートに立ち続け、今後誰も更新できないだろう記録と記憶を打ち立てた53歳の笑顔は15年前よりも素敵であった。

そうだ。人を奮い立たせ、永く燃えつづけさせるものは「愛する力」である。そして、それを証明するのは「時間」であり、それをやり遂げる「努力」、いや、その道のりさえも「楽しむ」ゆとりなのだろう。

短い時間で成し遂げられる偉業はない。

(2020年9月29日@nortan)

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