242、木綿のハンカチーフ

昭和の歌謡曲が人気だ。ラジオから名曲が流れてくることも増えた。懐かしく感じるのは、年齢が人口中央値を越えてしまったからだろう。ちなみに、日本の人口中央値は46.35才(2015年)で世界1位だそうだ。

恋人よー♪ 僕は旅立つー♪

この歌が流行していた当時、恋人がどんな存在かすら分からない子どもだった。今あらためて聴いていると、歌詞に関係なく昭和の思い出が蘇ってくる。

染まらないで 帰ってー♪

には、半世紀の間に現実的に染まってきた人生を「夢」や「希望」といった純粋な気持ちでリフレッシュしたいと思いながら、いろんな出来事を乗り越えてきたからこそある「今」の尊さを実感する。

木綿といえば全世帯に2枚ずつ配布されたマスクも木綿であった。サイズも型も昭和を思い出させる懐かしいマスク。不織布で使い捨ての平成マスクにはない、洗って再利用できる良さもあったが、不評であったことは事実である。

もし、今でも市販マスクの供給が追いつかず、その後の追加配布も行われていたら、令和の必須アイテムになっていたかもしれないと思う。使い込むうちに、新しい白が少し染まって色あせた白も、ただに古いのではない趣きがあった。

昭和は随分遠くなった。現在、30歳以下の日本人は平成生まれである。30年後は、60代以降のみが昭和世代になる。その頃は、マスクだけでなくハンカチーフや肌着(インナー)も使い捨てになっているだろうか。それとも、衛生面からいえば勿論使い捨てに合理性があるが、昭和の良き文化が復活しているだろうか。

さて、恋人よ、そして若者よ、僕たちは旅立っているかもしれないが、この国の未来を決めるのは僕たちであり、30年後に責任をもつ今でありたいと思う。

(2020年9月1日@nortan)

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