PCR検査の精度が問題である。前提条件として、実際の陽性者と陰性者の割合によって、判定の信頼度が大きく変わるのだ。つまり、陽性者が少ない段階で全員に検査をしても、陰性なのに陽性者が多く出るのが、検査精度として避けられないのである。
精度には2種類ある。陽性者を陽性と判定する「精度」と、陰性者を陰性と判定する「特異度」だ。この特異度が100%であれば、精度のみの問題になる。
例えば、天国に行ける者が100人、地獄に落ちる者が900人であることを神様が事前確率として決めていたとする。心配な人間が、それを予想判定する検査を精度90%・特異度90%で発明したとしよう。この時、天国組で天国判定は90人である。また、地獄組で天国判定も90人である。的中率は50% (90÷1 80=0.5) 、コイン投げの確率でしかない。もし、特異度が100%ならば、的中率は100% (判定率は精度と同じ90%) である。
コロナウイルスの陽性判定を、精度70%特異度90%事前陽性者割合2%で計算してみると、87.5%もが偽陽性で、的中率は12.5%とサイコロよりも低い確率である。
そこで、対策として症状のない者を検査から外すことは的中率を上げるには正しいが、感染防止対策としては否である。それは、陰性判定者の中に0.6%の感染者が存在するし、陽性者の多くには症状が見られないからである。
では、どうすれば良いのだろうか。それは事前確率を大きくすることだ。しかし、大切なのはコロナウイルスの陽性者を増やすということではない。神のみぞ知る確率を大きくするのである。
他者への思いやり(博愛)を増やすことである。そうすれば、ネット上を飛び交う誹謗中傷も姿を消し、新型コロナウイルスもその振る舞いを悔い改めるに違いない。
ある教えでは、私たちの両肩にはそれぞれ天使と悪魔がいて、善行と悪行の数をカウントしているという。その数によって天国組か地獄組か決めるのだそうだ。
これは、決して特異な考えではないと思う。
(2020年8月28日@nortan)