自粛要請で静止させた経済を、再び回すことは最優先課題だ。そこで、1年程前に20時~3時に観光施設を充実させて、世界中からより多くの観光客を呼び込もうという話「ナイトタイムエコノミー」があったことを思い出した。
そもそもナイトタイムは、外国人観光客の不満のひとつに「日本の夜は何もすることがなくて長い」があったからだと言われていた。確かに、日本の夜は健全だ。眠らぬ街東京でも、24時間開いているのはコンビニエンスストアやインターネットカフェくらいだろうと思う。だからといって、ラスベガスのように「眠らぬ街」を各地に作ることで、解決になるのだろうか。
逆に、日本ならではの健全さを貫き、夜は10時で歓楽街は閉める。宿泊施設は郊外の自然の中に設け、蛙や鈴虫の声・川や雨や風に揺れる竹林など、自然の音を聞いて過ごしてもらう。夏はテントを張って静かなアウトドアも良いだろう。国土の7割以上を占める自然を生かさぬ手はないし、地方だからこそできる解決策だ。
そもそも、カジノや爆買いを求めているのは一部の観光客で、本当の日本好きではないように思う。昼と夜で経済を2倍にする目論見より、10倍も20倍もの経済効果があるに違いない。欧米では当たり前の大型有休(ヴァカンス)を利用して、田舎に2-3か月の長期ステイを楽しんでもらうなんて企画も流行りはしないだろうか。私たちも自ずとグローバル化できるに違いない。二つ問題なのは、本当に日本を愛してくれる観光客と、その観光客を受け入れる私たちの度量の大きさだ。
ここまで観光客と一括りで論じてきたが、昨年の訪日客は、アジアからが80%程で欧米からが20%程だ。この比率からすると「ナイトタイム」を求めたのは、どちらなのだろうか。それとも、カジノ絡みで儲けようと私たちからナイトタイム話を作り出したのだろうか。
さて、もはや経済大国ではなくなりつつある我が国は、どんな国になろうとしているのだろうか。観光大国も良いのかもしれないが、お金やルーレットで信念を操られない「信頼大国」になるというのはどうだろうか。
こんなことを考えていたら、私もナイトタイムになってしまった。経済を回復させる知恵を、夢の中で見つけたいと思う。
(2020年6月22日@nortan)