225、後センチネル族

以前、外部からの一切の接触を認めずに近づく者を弓矢で威嚇する島民センチネル族について考察した。まずは、ペッパー君のようなAIを送り込んで…などと、遠い世界のことのように空想もしたが、今や、私たちの世界と彼らの世界が入れ替わってしまったようだ。

バスで近くに立つ相手に「コロナは近づくな」と言ったことが原因での乱闘騒ぎ。そこまででなくとも、至るところに天井からの透明フィルムなどの間仕切りや、カメラとセンサーを組み合わせた機器で入場を監視するシステムの導入が「新しい生活様式」スローガンのもと、少しの疑問も寄せ付けずに実施されている。そのうちに、全身をすっぽり覆う透明スーツが発明されるかもしれない。私たちは、ようやくセンチネル族の真意を理解できるようになったのだろう。

さて、問題なのはこれからだ。ウイルスに対する恐怖を煽られることで、私たちもセンチネル化する道を歩むのか。それとも、センチネル島の中心にあるかもしれない最先端技術で私たちの対応を監視している彼らに、ウイルスへの驚くほど平和的な対応能力を見せつけられるかである。

近い未来、彼らが「恐怖を乗り越えたあなた方の方法を学びたい」と島を出てくる方に、私は一票を投じたい。

(2020年6月11日@nortan)

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