数を5つ数える時、私たちは人指し指から小指ヘ指を伸ばして、最後に親指を立てる。地域によっては親指から始めたり、小指から逆に数えたりすることもある。また世界には、親指と輪を作って数えたり、広げた手の指を反対の指で順に指して数えたり、関節を曲げて5よりも多く数える文化もある。それらを真似て実際に指を動していると、指の働きの複雑さにあらためて気づく。
大脳皮質に占める感覚器官の割合(ペンフィールドの脳地図)から描いたホムンクルスの絵では、手が身長の半分ほどあり、両手で頭部を包み込めるくらいだ。子どもの頃はよくした指遊びや、中学生の頃に授業中にやって注意された鉛筆回しなどが、私たちの知能を高めてきたのだろうか。
確か、二進法を使うと片手で31まで数えられる。親指から小指に1.2、4、8、16と数字を書いて、立てた指の合計で数を表す仕組みだ。これが一番たくさん数えられる方法だと理解していた。
最近読んだ本に「10進表記がなかった古代文明では、指を使ってもっと大きな数まで表現していた。しかし、その方法は記録に残っていない。」という記述に出合った。
数字が発明されて、私たちの数える能力は退化したのだろうか。それなら、コンピュータの発明で未来の人間は片手で5も数えられないかもしれない。
そんなことにならないよう、せめて片手で100まで表す方法を見つけようと思う。
(2020年5月17日@nortan)