私たちの細胞が作り出し、血液中に放つ情報伝達物質の総称がサイトカインである。ウイルスと闘ってくれる免疫物質インターフェロンを生成したり、癌細胞を自死させるアポトーシスを誘発させたりもするらしい。現在数十種類が発見され、発展途上の研究分野だ。どうもこの仕組みによって、コロナウイルスが免疫力の高い若者の命を奪っている可能性があるらしい。
サイトカインストームは、細胞に寄生して自らのコピーを爆発的に増やすコロナウイルスに対する免疫の嵐で、守るべき臓器や血管を必要以上に傷つけてしまうらしい。
本来、約37兆個の細胞どうしのコミュニケーション手段であったサイトカインが暴れ出す状況は、氾濫する情報に不安を掻き立てられて自らの行動を冷静に振り返られなくなった人間に例えられなくはないだろうか。
長引く自粛生活で1割増えたという家庭内暴力や、行き過ぎた自警行為、経済的に追い詰められた弱者を救えない社会システムなど、私たちもサイトカインストーム化しているように思える。
しかし、サイトカインは本来は私たちの生命を守り維持する仕組みである。現在の社会状況を救うためには、ウイルスの細胞への情報伝達を阻止するという新薬アビガンの力を借りねばなるまい。
つまり、それはネットやテレビなどの不要な情報を絶って、大切な人を守ることを意味するのだろう。
(2020年5月16日@nortan)