216、尊徳

江戸時代晩期に農政改革に尽力したことが功績とされる。子どものころ両親と田畑を失い、祖父のところで身を粉にして働き、20才の時に失った田畑を買い戻したという。その努力が認められ、各地の農政改革で力を発揮した。しかし、苦労家だけに完璧主義な所もあり、農民たちの反発を受けてからは、寛容さと大胆さを身につけたようだ。

それが、天保の大飢饉で藩に仕えた時、今は緊急時だと蓄えてあった蔵米を大胆に放出して村々を救ったという逸話に繋がる。今の時代に尊徳がいたらと感じる。

話は変わって、大正から戦前にかけてこの二宮金次郎の石像を作り、各地の小学校に寄付することが流行した。それは、薪を背負った子どもが本を読みながら歩く姿である。最近も、石像の寄付はあるようだが、歩きスマホ防止のため、座った像に変わりはじめたらしい。

しかし、金次郎が歩き読書をしていたかははっきりせず、懐に本を入れていたという説もある。明らかなのは無類の読書家で、祖父に夜の読書は燈油がもったいないと言われ、自ら育てた菜種を燈油にするくらいだったということらしい。

令和の時代の金次郎像は、夜に燈火の下で読書をする像に変わるのだろうか。それとも、夜にスマホは駄目ということで、昼間にステイホームで読書をしている像になるのだろうか。

全国の学校が再開し始めたが、尊徳ならどんな思いきった改革をするのだろう。財政の損得より子どもたちを第一に考えることは間違いない。

(2020年5月20日@nortan)

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