207、二枚のマスク

米国でマスクをして歩いていた東洋人が、ウイルスをばらまく悪として襲われたというニュースがあった。それから数か月、今ではマスクをしている方が、相手を思いやる正義だ。

我が国では「県境を越えないで!」と毎日のようにメッセージ発信するマスクの首長を味方にした正義が、他県ナンバーの車を追い払うマスク自警団になった。同じ日本人で団結していたはずだが、来月には各地に関所ができ、温度計を腰に差したマスクが配置されるかもしれない。

こんな状況を利用して、マスク買い占めや10万円振込み詐欺などの悪も盛んである。「コロナで会社に迷惑をかけたからお金を振り込んで」詐欺や「今のうちに…」詐欺もである。

正義の味方、マスクマン!

私たちを助けて!

と叫んでも、みんなマスク姿で、誰が正義か悪かも見分けがつかない。いつもテレビで見る偉いマスクだから正義とも限らない。マスクの下に見抜かれぬ陰謀を隠しているかもしれない。私たちは、マスクの下の表情ではなく、正義の真偽を見抜かなければならないのだ。

さて、コロナ危機が起こるまで、正義が対するのは悪だと思っていた。しかし、実は悪でなく「恐怖心」であることに気がついた。先の読めない恐怖が、私たちの心に擬正義マスクを作り出しているのだ。

擬正義は、権力者やマスメディアの情報を鵜呑みにして操られてしまう。恐怖心に煽られて、マスク狩りや東洋人排除を正当化してしまう。近未来は、これらの擬正義にのみこまれてしまうのだろうか?

いや、これらの恐怖を乗り越え、心の中から偽物の正義が消えた時、本当に私たちの新しい時代が始まるに違いない。そこには、差別も戦争も存在しない。

神は、私たちの心のマスクが本物に変わるのを見守っている。

(2020年5月11日@nortan 未だ届かぬ二枚はどちらのマスクだろうか?)

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