205、ヒト-人-Hito

「ゾウの時間ネズミの時間」という本。ネズミは心拍数600-700で寿命2-3年、ゾウは心拍数20で寿命70年。どちらも生涯に約15億回心臓を鼓動させると寿命をむかえることになるらしい。

ゾウとネズミと同じ哺乳類であるヒトに当てはめると、ヒトの動物としての寿命は約30年。間違っているようだが、先史時代なら当たっているそうだ。ヒトは定住生活をはじめてから、寿命が倍以上に伸びたといえる。それは、一般的に栄養状態の改善や医学の進歩が原因であると考えられるようだが、あえて別の仮説を立ててみた。

A:社会的に複雑に交流するようになったことで影響力が増大し、個人のもつ情報を長く維持する必要が生じた。

B:摂取エネルギーが増え、移動に化石燃料を使うため、生命エネルギーに余裕が生じ、未来に投資することができるようになった。

さて、Stay-Homeは、人類が定住して以来1万年続いた生活様式を変えてしまう原因となりそうだ。 もし、A仮説を支持すると、Stay-Homeは人との接触が激減して、寿命仮説を後戻りさせてしまうだろう。

また、B仮説を支持すると、さらに生命エネルギーに余裕ができて、Stay-Homeは寿命仮説を前に進めるだろう。もちろん、AもBも影響し合って、寿命は伸びも縮みもしないという結果になるかもしれないが…

未来の科学者が2020年を振り返って「引きこもり革命」と名づけ、「ウイルス感染への社会的不安が原因で、インターネット技術とAIロボット技術が後押しをした。」と論文にまとめるかもしれない。そして、未来の寿命が伸びていたのなら地中へのひきこもりを、縮んでいたのなら原始生活への回帰を主張するに違いない。

30年しか生きられなかった動物「ヒト」は、60年生きる社会的動物「人」になった。そんなことを想像してみたが、今は心拍を感じて「ヒト」の時間を生き、削減された社会との交流を感じて「人」の時間を生きることに精一杯だ。そうしているうちに、私たち「人」は別の「Hito」に進化していくのかもしれない。

(2020年@nortan)

コメントを残す