犬は、嗅覚が人間の千~1億倍と優れている。そこで、犬は嗅覚で考え、コミュニケーションしている。
しかし、我が家の老若犬2匹はそれがうまく機能していない。そのため散歩は別々が常だし、2匹の間には壁を置いている。ひょっとしたら、世代間ギャップなのかとも思う。
私たち人間は言葉を扱う能力が他の動物より優れている。もちろん、他にも音声でコミュニケーションをする動物はいるが、書物にしたり、電波にのせて送ったりと、時間と距離を越えたコミュニケーションができるのは、今のところ人間だけである。
現在、世界で話されている言語が7100ほど、主要なものにしぼると23。神話では、バベルの塔の建設以前は人は同じ言葉を話していたというが、それはどんな言語だったのだろうか。最近の世界ニュース(この危機を乗り越えたら、我が国は黙ってはいない。)などに、フェイクであってほしい、何とか言葉の壁を取り払いたいと思う。
音を聴き分ける能力は、生後10か月までに完成し、それ以後は固定されるという。また、言葉の中に存在する深い意味を理解できるようになるのは10才以降だともいう。だから、成人すると、使う言語が異なると、思考の違う人間になるのかもしれない。これは、バベルの塔で神の与えた天罰だ。だから、政治家が他国と上手くコミュニケーションをとれないのも当然なのかもしれない。
でも、Google翻訳があるではないか。そう思うかもしれない。ディープラーニングで、日々、その精度が上がってきているが、使うほどに「そういう意味じゃない。」という場面も多い。そもそも、言語は単語や文法など表面的な違いだけではなく、内的構造や心との結び付き方も違うのではないかと思えてくる。AIは、心を翻訳できない。
そうではない。心も通じあえる。育った文化が少し違うだけで、人間の思考は共通だと考えたい。これは、認知科学の仮説だ。
一方、「使う言葉そのものが、人間の思考と行動である。」とする仮説もある。使う言語が、それぞれの人を創るのだ。日本人が謙虚で空気を読むと言われるのも、言語の違いが原因なのかもしれない。ならば、明治時代の日本人と現代日本人は違う心をもっていることになる。これこそ、世代間ギャップだ。
さて、コロナウィルスに罹患すると一時的に嗅覚が無くなるといわれる。犬たちにとったら深刻なコミュニケーション危機である…と、ここまで人間の「言語と思考」について考えて気づいた。
もし、コロナ危機を乗り越えた後、本当に別の危機が生じたら、「ウイルスが人間の言語機能を破壊し、思考から『協調』と『助け合い』を奪った。」のかもしれない。
バベルの塔に続いて、私たちは神の怒りに触れてしまったのだろうか。これは私の仮説だが、そうでないことを祈りたい。
(2020年5月1日@nortan)