社会の病気を治す。そのために、この国には安全な水と農業のための水が必要だと、聴診器をショベルカーのハンドルに持ちかえたアフガニスタンの英雄は、日本の英雄でもあろう。日本よりガンダーラに近い地で柩に眠る中村さんと気丈に対面する奥様とそれを支える娘さんの映像は、日本人という共通点しかない私にも、職業を越えた生き方について考えさせてくれた。
中村さんが襲撃された理由を報じるニュースを理解すると、アフガニスタンの英雄は、同国と敵対する勢力にとっては恰好の攻撃の対象であったということらしい。中村さんもその危険を承知し、決して逃げ出さなかった。アフガニスタンに骨を埋める覚悟だったと思う。私には真似すらできない。
さて、英雄の反対は「凡人」とあった。平和主義フランス作家ロマン・ロランの名言に、
英雄とは、自分のできることをした人である。 ところが、凡人はそのできることをしないで できもしないことを望んでばかりいる。
とある。まさしく、中村さんは英雄であった。
世界でも有名な日本人とか、外国人が好きな日本とか、○○ランキングとか、経済力や学力を含めて世界での表面的順位を気にする私たち。そんな限られたことにこだわらず、自分のできることを精一杯した中村さんは、やはり偉大である。せめて、その遺志を忘れずに年齢を重ねていこうと思う。
(2019年12月21日@nortan)