先日のNHKでの放送、115万人以上のひきこもり。39歳までが54万人、40歳以上が61万人。全国自治体数1741で割ると、各市町村で平均600人以上のひきこもり問題をかかえていることになる。
この問題を担当する自治体職員が、「はじめは卓球など、コミュニケーションの場を設けて呼びかけたが誰も出席してくれなかった。一人ひとりの得意な技能を生かして地域産業を活性化させる場を創ったら、参加が増えたと同時に地域からも認められ期待される活動の場に成長した。」と語っていた。115万のひきこもりには、115万通りの背景がある。社会適応問題、いじめ問題、パワハラ問題…など。しかし、このように「活躍の場」を創造することが解決に繋がる事例も多いのではないだろうか。
また、「ひきこもりに悩む家族に付け込み、悪徳な方法で法外な金銭を要求する業者も存在する。自治体主導で必要な対策を早急に求める。」というNPO法人代表の話もあった。行政が、成人のひきこもりは個人や家族の問題だとして、後手後手している間に、業勢に付け込まれたと言えるかもしれない。老後2000万円問題は自助努力と言われたが、ひきこもり問題は家族問題なのだろうか。いや、どちらも社会問題だ。
ひきこもりが問題化し始めて30年。10才の不登校問題は40才の不就労問題に、20才の不就労問題は50才の8050問題に移行している。一緒にNHK放送を見ていた我が子の「俺もひきこもりたい。」にドキッとしつつ、また「自分も…」と感じながら「1億円の貯金ができてからにしなさい。」と返事しておいた。まず、そんなことは実現しえないから、少くとも年金が支給される70歳までは働きつづけなければなるまい。
このままでは、ひきこもり問題は「ひきこもりたい」問題にも発展しそうだ。逆に「働きたい」問題はないのだろうか。そのためには「自分の力が求められている。自分でなければ…」という有用感が特効薬だろう。しかし、それは過労死問題とも表裏一体だ。近年ようやく大きく取り上げられるようになった働き方改革。どうやら問題の根っこは、そこにもありそうだ。
さて、70歳以上になっても引退できない方が幸せなのかもしれない。いつまでも社会に求められているという生きがい問題。そのためにも、自分に秘められた小さな才能に、生涯向き合い続けなければなるまい。
もちろん、向き合うべき社会問題も多いが。
(2019年10月22日@nortan 令和はどんな時代になるだろう)