178、鏡映反転

鏡を見た時、左右反対になるのに、どうして上下反対にならないのかは難問だそうだ。

そんなの、目が左右についているからだと答えられそうだが、片目を閉じても左右対称になるし、首を横に傾けても上下対称にはならない。ひょっとしたら、私たちの宇宙には左右対称になっても、上下対称にはなれないのかもしれない。

そこで、「鏡映反転―紀元前からの謎を解く(高野陽太郎)」を読んだ。大昔より様々な説が出ては反論されてきたとある。その中で「反対になるのは三次元の中の『奥行き』で、左右・上下の二次元は変わっていない。」「鏡に映る自分の姿に、他人との対面経験を当てはめて考え、左右反対だと認知する。」に納得させられた。これらも文字の投影などで反証されるそうだが、実は反対になっていたのは「左右」ではなく「前後」だったことに驚いた。

さて、同書に、前後が反対にならずに自分の後ろ姿が映る鏡の挿し絵があった。面白い。そんな鏡も、自分を見つめるには必要かもしれないと思った。

そうだ。後ろに鏡を置いて、自分の生き様を見てみようか。それとも、鏡の奥に広がる幅を測ってみようか。そうすれば、人生の「奥行き」も見えてくるかもしれない。

鏡映反転は、人生を哲学するために神様が与えた難問だった。

(2019年10月14日@nortan)

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