リチウムイオン二次電池(LiB)の開発に貢献した吉野彰さんが、ノーベル化学賞を受賞した。2002年に同賞を受けた田中耕一さんと同じく、市井の研究者だ。
最古の電池は紀元前のバグダット電池。金属メッキや治療に使われていたなどと推測されているが謎である。また、マンガン乾電池は30年程前までは主流で、その後、アルカリ電池・ニッケル電池と進化してきた。しかし、逆方向に充電もできる二次電池は、コンピュータやスマートフォンなどの携帯電化製品を市井の商品とし、電気自動車の実用化にも貢献している。
近未来を想像してみた。朝起きると自転車をこぐ。帰宅後も同様だ。太陽光発電が十分でない曇りや、風力発電のできない日は、いつもより長めにこぐ。今や、電気は作る時代だ。体力自慢の山田さんは、朝から夕方まで発電し、余剰電気を近所のお年寄りに安く分けて生活している。原子力発電所は蓄電所になり、税として集まった電気は学校や病院などの公共施設で使われている。通貨もW(ワット)になり、銀行は金庫の代わりに大きなLiB庫に電気を蓄えている。企業は、体力のある社員を奪い合うようになり、新入社員研修は日本一周サイクリング…
何だか変になってしまったが、市井の研究者の発明が、世の中を大きく変えることだけは間違いない。
(2019年10月14日@nortan)