176、自発的対称性の破れ

2008年ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎先生の理論。

宇宙は、電子場やクォーク場などのいくつかの『場』から成り立っている。そして、それぞれ波の性質をもっている。波ゆえに、波のない状態は均衡状態でエネルギーゼロだが、実はそれよりも低エネルギーの安定状態が存在している。そして、芯を下に垂直に立てた鉛筆が必ず倒れるように、自発的に非対称な性質に落ち着く。つまり「正と負が打ち消しあってゼロになるのではなく、偶発的にどちらかに傾き、素粒子(世界)の性質や質量を決めている」と理解した。

確かに、右利きと左利きの人数は同数でなく非対称だ。また、コインの表裏も、両面が同じ刻印のレアコインが存在するなど僅かに非対称だ。他にも、男女の出生数、昼夜の時間など、現実世界の二項は必ずどちらかに傾いている。

それでは、正義と悪の対立はどうだろうか。「正義は必ず勝つ」なんて言うことがあるが、それも偶発的に決まるのだとしたら、先のセリフは「勝った方が正義なのだ」に換言しなければならない。ああ、『人間の場』だけは、物理法則の適用外であってほしい。

(2019年10月14日@nortan 「負けるが勝ち」の意味を考えながら)

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