2人に1人がガンになる時代?
このキャッチコピーを使っているのは医療保険会社。いくら医療技術がすすんで、ガンが治る病気になったとしても、「少子超高齢化時代、このままでは日本が滅んでしまう。日本はガン大国だ!」と馬を敬った(驚いた)。
根拠は、国立がん研究センターのデータ「生涯でガンと診断される確率は男性で62%、女性で46%」である。別のデータでは「30歳男性がガンと診断される確率は、40歳までに0.5%、50歳までに2%、60歳までに7%。」どうやら、「(現在30歳の)男性は30~80歳の50年間に42%、(同)女性は80~寿命までに46%が統計推測上、ガンと診断される可能性がある。」ということが真実らしい。
誤解の根っこは、「全体で」を「私が」に、「50年間で」を「今」に置き換えてしまう思考だった。もちろん、それを利用したキャッチである。データは事実、受けとめるのは感覚である。誤解も「保険に入っておかなければ…」という感覚的行動につながる。ただ「後で、入っておいて良かった。」と思うのが保険であるし、寿命を迎えて「自分には必要なかった。」と思うのも保険である。
さて、統計は私たちの未来を予測できる道具であるが、あくまで「過去の累積」でしかない。そのデータに「未来のイノベーション」が入っていないことを忘れてはいけない。100年前のデータで、自動車所有率が一世帯に1台になることや、スマホを含む携帯電話所有率が193%となることは予測できない。高度経済成長やiPhoneの発明がデータに含まれていないから当然だ。
ということは、
今、私たちが過去のデータから予測する未来はこないのかもしれない。例えば、超高齢社会、年金破綻、日本経済の凋落、2人に1人以上(つまり皆が)○○になる時代…
信じるべきなのは「過去が予測した未来」ではなく、「予測した未来は変わる(を変える)」という(熱い)イノベーション魂だろう。
(2019年8月2日@nortan)