171、アルゴリトミ

9世紀中東の数学書が、5世紀の間ヨーロッパの大学で教科書として使われていた。「アルゴリトミ」(著者であるアル・フワリズミー曰く)というラテン語が、アルゴリズムの語源になった。これは、インドでの計算を紹介したもので、今でこそ世界標準であるアラビア数字0~9の記号(これもインド発明)による十進位取法。つまり、アルゴリズムとは「計算」である。

それでは、計算とは何か?「四則演算でしょ!」と簡単ではない。「コンピュータの思考!」確かにアルゴリズムなくしてPCは何もできないが、根元的ではない…こんなことを考えていたら、うたた寝に落ちた。

うたた寝に 恋しき人を 見てしより 夢てふものは 頼みそめてき

と、小町のような平安美人が現れたのではなく、髭をたくわえたギリシャ哲人。

「真実に至るための道のりである!」

と、大声で教示られて覚醒した。

ピタゴラス学派にとって、「世の中は数(有理数)でできている。」が教義であった。計算によって求めるものは「真実」である。そうだ。アルゴリズムとは、「確実に正しく真実(正解)に至ることが保証される道のり(計算手続)」だ。

例えば、ユークリッドの互除法。確実に2数の最大公約数を求められる。そして、ガウス少年の発見した1 + 2 + 3 + … + n = (1 + n) × n ÷ 2。計算だけに限らず、PCなど電化製品に付属するマニュアル。故障したかなと思った時に解決してくれる。そして、専門家や経験者(子どもにとったら大人)も解決に至る道を示してくれる。ひょっとしたら、人生もアルゴリズムか?!答えがあるのか?

しかし、マニュアルでは解決できずにリセットしたり、廃棄したりすることもある。専門家にも分からないことや大人が間違っていることもある。ピタゴラスも√2などの無理数に敗北した。2乗して-1になるiを含む複素数は、計算の道具として使えても大きさを比べることすらできない。

そうか、人生はアルゴリズム(計算)ではない。だから、答え(真実)もなければ、計算手続(確実な生き方)もない。そして、他人と大小(価値)を比べることもできない。人生は、iだ。

うたた寝で真実を教示してくれたのは、ピタゴラスではなく、愛(i)に生きた小町だったのかもしれない。

(2019年8月2日@nortan)

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