169、仮想○○

新しい暗号資産が産ぶ声をあげようとしている。しかし、先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は「現在の金融制度を揺るがしかねない。」「最高水準の規制が必要だ」と声明を出し、難産になりそうだ。Libra(リブラ)は、天秤座の意味をもつFacebookの仮想通貨(暗号資産)である。

このLibraはステーブルコインで、ドルやユーロ、円などの法定通貨を準備金とする。価値が急変動したビットコインより安定で信頼できるが、その分、1ドル=○リブラという単なる通貨の置き換え。つまり、法定通貨を根拠に、巨大企業が単位変換して発行するプライベート通貨だとも言える。確かに私たちにとっては便利になりそうだが、ある国の財務大臣は「過去の情報漏洩問題など、それほど信用できる企業なのか?」と牽制する。まるで、国家と巨大企業との静かな信用争いだ。それでは、何が問題であろうか。

まず、我が国の現金決算比率は60%で、それにかかるコストは年7~8兆円。これは、手数料として銀行の収入である。皆が仮想通貨で取引を始めると、既存銀行への手数料の流れがなくなる。これが、1つめのハードルだろう。

次に、資金が簡単に国境を越えてしまう。銀行に預金口座を持たなくても、安い手数料で簡単に送金し合える。世界で30億人近いFacebookの利用者や企業が自在にそれを行えば、仮想通貨ならぬ「仮想国家(経済圏)」の誕生である。これが、2つめのハードルだろう。

さて、未来はどうなっているだろうか。国家が自国通貨を仮想化・暗号資産化しない限り、この流れは止まらず、20年後のG7国際財務会議は、GAFA4大企業会議になっているかもしれない。

答えを、天秤の女神に尋ねてみた。すると、「仮想通貨には重さがないから天秤は傾かない。また、暗号だけに答えはヒ・ミ・ツ…」と返ってきた。

(2019年7月26日@nortan)

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