このテストは、間取りを知らない家に上がってコーヒーを入れることができれば、合格だそうだ。何だ、そんなことは容易い。まず、新築を建てた友人の家に突然お祝いに行く。「まあ、あがってくれ。」と言われたら、のこのこと上がって、「お願いがある。何も言わず、俺にコーヒーを入れさせてくれないか。」と頼む。その後、キョトンとする友人をよそに、キッチンに行ってお湯を沸かし、インスタントコーヒーをカップにスプーン一杯入れて、沸いたお湯を注ぐだけだ。本格的にコーヒー豆を挽いてドリップ式で入れるとしても、時間はかかるが何てことはない。問題なのは、困惑する友人の視線に耐えることと、以後の友情に少なからず亀裂を生じさせることくらいだろう。
ところで、これは「図々しさ」や「度胸」を試すテストではない。『汎用であるかどうか』を試すテスト、ウォズニアックテストである。もちろん、対象も人間ではなく、人工知能(AI)だ。Apple社創業者である、もう一人のスティーブが考案した「次世代汎用AI(GAI)」に求められる能力である。しかし、AIはこのテストにパスすることができないと考えられている。知らない間取りからキッチンを探し、知らないヤカンに、知らない蛇口で水を入れて、知らないコンロでお湯を沸かすこと、つまり、人間なら推測して行動できることができない。一を聞いて十を知る能力がないのだ。
このように考えると、人間とはナイス・ガイ(GAI)である。超能力的なことは出来ないが、それなりのことをそれなりにできる。少し字は違うが「凡人」であることがどんなに素晴らしいことか気づかせてくれたのは、意外なやつ(GAI)だっだ。(2019年2月12日@nortan)