144、三年

石の上にも三年は、3年ではなく「たくさんの年」という意味である。では、そこで転ぶと三年以内に死ぬというちょっとおそろしい俗説のある三年坂の三年は何年であろうか?

昔話「三年寝太郎」は、数々の太郎話の中では目立たぬ太郎である。畑仕事にも行かずに家の中で寝てばかりいたが、突然起き上がると村の水不足問題を解決してしまう。力技の金太郎や武勇伝の桃太郎、動物愛の浦島太郎と比べると知能派である。我が国では、寝太郎のように「引きこもり」が社会化している。2015年調査によると、5年前より15万人減ったが、全国で50万人(15~39歳)を越えるという。40歳以上を含めると、40代が一番多いというから、減ったのではなく調査対象外に押し出され高齢化していることが問題なのだろう。引きこもりの定義では、三年は「6か月以上」だそうだ。

隣国には三年坂に似た民話「三年峠」があるらしい。この話では、落ち込んで寝太郎(引きこもり)になったお爺さんを、若者トルトリが、逆転の発想で救う。それは、「一度転べは3年しか生きられない。ならば、二度なら6年。たくさん転べば、長生きできる。」お爺さんは、坂の上からたくさん転んで元気を取り戻しました。めでたし、めでたし。ちなみに、トルトリとは賢者という意味だ。

さて、我が国の引きこもり問題。一括りに原因は○○だとはできない複雑な要因が絡み合っているように感じる。それぞれ、三年の年数も違うし、寝太郎のように次のステップに必要な期間なのかもしれない。しかし、それを救うために、社会的システムの変革は不可欠だろう。外国人労働者34万人を受け入れる一方で、国内引きこもり50万人を解決できない日本とは変な国だと言われかねない。

我が国にもトルトリではなく、現代の太郎はいるはずだ。昔のように武勇伝や力技では困るが、愛と智の太郎がリーダーとなり、石の上にも三年、腰を据えて長びく社会問題を解決へ導いてほしいと思う。さもなくば、寝太郎たちで力を合わせて、ボトムアップで解決するのも一つの道かもしれない。今や、部屋の中のPCは、ゲームだけでなく人と人を結びつける道具でもあるのだから。ひょっとしたら、太郎の時代は終わって「二郎」の時代なのかも…(2019年1月15日@nortan私にとっても新しい三年が始まった日)

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