量子コンピュータの肝は、「量子ビットの重ね合わせ状態」である。デシタルビットでは、0と1のどちらかの値しか示せないが、量子ビットでは0と1の「どちらでもある状態」を確率として表せる。ただ、観測すると0と1のどちらかに定まってしまう。例えば、「00(=0)」「01(=1)」「10(=2)」「11(=3)」の2ビットどうしのかけ算の積を、量子コンピュータなら、0×0、0×1、0×2、0×3、1×0、1×1、1×2、1×3、…、3×2、3×3の16通りを一度に行える。そして、観測した時に求めたい答え1つに定まる。2ビットで16倍、3ビットで64倍、…、nビットで2の2n乗の計算を一度にすることになるのだから最強だ。現在のスーパーコンピュータで1000兆の1000兆倍回かかる計算も5000回程で済んでしまうらしいから、最高機密暗号もすぐに解読してしまうだろう。
だから、量子コンピュータの計算は、「明日の運勢は?」とあらゆる可能性を計算して「明日が来れば、ひとつに定まる。」といった占いに似ている。ただ、肝である重ね合わせ状態がすぐに崩壊(デコヒーレンス)してしまうというから、十分な実現は難しいという。私たちも子どもの頃にたくさんの夢を見るが、成長するにつれて一つずつデコヒーレンスして、たった一つの夢を叶えることも難しい。
でも、量子コンピュータよ。安心するがよい。夢の肝は「叶えるもの」ではなく、気づいた(観測した)時に「そこにあるもの」なのだから。(2018年12月2日@nortan)