未開の島に神の教えを広めると旅立った冒険家が、帰らぬ人となった。多くの槍をうけた身体を回収・埋葬することも不可能という。文明から取り残され、新石器時代以前の生活を営む唯一の種族という。島の中心部は森林に覆われ、衛星写真でも生活の様子は窺い知れないが、近づいた者を見つけると全裸で砂浜に現れ、長い槍で威嚇してくる。漁の最中に眠り、浜に流されて命を失った漁師もいるようで、インド政府も種族を守るために全く干渉しないとしている。インフルエンザなどのウィルスを持ち込むと、250人程と推測される貴重な島民を絶滅させてしまう恐れがあるからだ。ネット上では人気のサイトも作られ、ドローンに向かって槍で威嚇する写真も公開されているが、センチネル族にしてみたら人気は迷惑だ。
ここまで知って、いろいろ想像してみた。
まず、「本当は私たちより高度な文明をもっている。」森林の中には、全リサイクル可能なエコシステムを備えた住居や学校・病院などの都市システムが発達していて、周囲の未開人類からそれを守ろうと原始人を演じている。名づけて、天空の城ラピュタ説。
次に、「言い伝えを守っているだけ。」石器時代に、インド大陸から競いを避けて島に移り住んだ。その時、この島に出入りする者は容赦なく死罪とせよ、と自分たちの文化と平和を守るために言い伝えた。名づけて、鎖国説。
そして、「本当の人類は自分たちだけで、島が宇宙の全てだと思っている。」海の向こうは大きな滝になっていて、近づいてくる自分たちに似た肌の白い変な布を纏った生物は、地球外からの侵略者だと信じて、必死に戦っている。名づけて、地球防衛説。
本当のところは、「話し合えば、分かりあえる。」とコミュニケーションを図りたいものだが、そのことに命をかける勇気はない。まずは、ペッパー君を送り込んでセンチネル語を学ばせたいものだが、彼らはどう受け取るだろうか。ますます、宇宙人の侵略だと確信するにちがいない。こんなことを想像していたら、私たちこそ「銀河系のセンチネル族」と思えてきた。随分昔に、銀河政府に保護?見放されているのかもしれない。(2018年11月25日@nortan)