121、平均

どのような内容であっても、「平均より上ですか?下ですか?」と尋ねると、70%程が「自分は平均より上」と答える傾向だという。50をはみ出した20%は現実より自分をポジティブに認知していることになる。認知心理学では、この根拠のない自信を『ポジティブ・イリュージョン(Pos-I)』という。平均以下だと答えた30%は、現実を正しく認知しているネガティブ・リアリティと、平均以上なのに以下だと認知しているネガティブ・イリュージョン(Neg-IR)となる。残り50%は、ポジティブ・リアリティ(Pos-R)である。つまり、私たちの認知世界は、Neg-IR(30%)とPos-Ⅰ(20%)とPos-R(50%)の3つを往来している。

さて、平均とは簡単に計算できるものだろうか。平均を計算したとしても、隣国のデータを加えると平均は上下する。たとえ、世界中のデータから求めたとしても、認知的平均からかけ離れたものになるだろう。それほど、世界の平均は多様である。過去という時間軸でも、平均は一定しない。そして何よりも、我が国も非正規雇用が貧困問題に発展している。所得データは、中心が凹んだ二つの山(平均が扱える正規分布ではない状況)になりつつある。もはや、平均的日本人は存在しえない。つまり、「平均より上か下か」という認知そのものがイリュージョンなのである。21世紀、私たちは、過去とは全く変わってしまったこの社会を、「平均にとらわれず」生きぬいていかなければならない。(2018年11月4日@nortan平均にかわる指標は、自分の強い意志でしかない)

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