115、「ぬ」と「る」

最近、めかぶの美味しさに目覚めた。めかぶとは、ワカメの胞子葉で不飽和脂肪酸を多く含む健康食品とされているが科学的に根拠づけられた訳ではないとあった。ぬるぬるするので納豆に和えたり、だし醤油を加えて炊き立てのご飯にのせてもいける。古代では、貢物として海苔についで重宝されていたというから、今までこの味を知らなかったことが悔やまれるほどだ。人によって好き嫌いはあるだろうが、納豆やオクラ、メカブ、山芋など「ぬるぬる」は健康志向だ。そう思って食べるようになったとも言えるが、年をとって味覚も変わったのだろう。

さて近頃、もうひとつ変わった味覚がある。それは「平和」のとらえ方である。「平和とは、戦争のための武力をもたないこと」とハード面だけでとらえているところがあった。しかし、「平和とは、勝てぬ戦をしないこと。勝てる戦をしないこと。」という言葉に出合った。書籍だったか、ラジオだったか忘れてしまったが、記憶に残るフレーズであった。世界を何度も破滅させる武器を持つ軍事大国も、それに対峙し軍事力を増やそうとする国も「勝て『ぬ戦・る戦』をしない」という心を忘れはいけない。平和を実現維持するには、そんなソフト面(心の砦)も大切である。バブル当時、「ぬる」ま場で「楽しければ、いいじゃん!」といっていた若者に、「平和ぼけしていてはだめだ。二度と戦争を繰り返してはいけない。社会のことにもっと関心をもたなければいけない。」と諭してくれた元気な戦前・戦中世代も、戦後73年、少なくなっている。「ぬ」め「る」めかぶを噛みしめながら、私たちが受け継がなければならぬ「味覚」がある。(2018年10月16日@nortan)

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