112、プラナリア哲学

メダカの水槽に害虫が発生した。随分、水質が悪化したようだ。水替えをサボり、水草との自然循環に任せていたせいで、我が家の緋メダカは二度絶滅した。今は、金魚と繁殖した巻貝、ヤマトヌマエビと害虫の共生状態である。

害虫とは、生物の授業で学んだ「プラナリア」である。半分にしたら2個体に増殖する不思議生物だ。最初は、試験管にストローのような入口を作ったプラナリアトラップも効果絶大だったが、3度目以降には殆ど捕獲できなくなり、トラップは水中のオブジェとなってしまった。そこで、時々ガラスを這っているのを見つけると歯ブラシで擦ってやるが、ひらひらっと水底に舞い落ちては、また這い上がってくる。私の完敗。逞しい生命体。宇宙生物との戦いのようにも思えてきた。プラナリアに思考力はあるか疑問だが、それなくして人類(私)には勝てまい?

そこで、プラナリアの思考を試みた。ある日、自分が2人になる。どちらも元私で、「私がオリジナルだ。」と主張する。「頭部だった私がオリジナルだ。」「面積の大きかった私がオリジナルだ。」「昔のことを覚えている私がオリジナルだ。」「子どもの頃、転んだ傷が残っているのがオリジナルだ。」「失恋のいたみを忘れていないのがオリジナルだ。」「将来の夢を語れる私がオリジナルだ。」と言い合う。そもそも、私意識って何だ?個体か?歴史か?目的か?そう考えていたら、プラナリアが語りかけてきた。「プラナリアに、私意識はない。我々は統一意識生命体。人間には理解できない。(例えるなら、スタートレックのボーグに近い。)皆が潜在的に繋がっている。私は、共有意識の一部だ。1人ひとりは、単なるコピーだ。人間は、まだ『共有意識』に気づかず、○○ファースト!と利己主義的に資源や富の争いをしている。功利主義(最大多数の最大幸福)を正当化し、多数強者が自分自身でもある少数弱者を切り捨てている。他者と意識を共有できない70億分の1の意識との水槽戦争に、我々共有意識は負けない。早く、アダムとイブのコピーであることに気づくことだ。ははははは…」

分裂増殖しているのは、プラナリアの方なのか人類の方なのか分からなくなってきた。ひょっとして、害虫は…?想像はここまでにして、まずは水槽の水替えをこまめにしよう。(2018年10月14日@nortan)

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