世界人口が増加する一方で、先進国は人口減少と高齢化、労働力不足が問題となっている。我が国でも人手不足が理由の中小企業倒産が、4年前の約3倍になったという。2025年には介護職だけで100万人の人材不足になるといわれている。そんな危機感の中、介護・看護師などアジア3国(フィリピン・インドネシア・ベトナム)からの受け入れも始まっている。しかし、日本語で厳しい国家試験に合格しなければ帰国する約束だ。そんな厳しい条件をクリアした者の大半も、数年後には帰国してしまうらしい。資格まで手に入れたのだから日本に定住・永住・帰化すればと思う。
また、留学生も増えている。ベトナムからの留学生が6万人と急増し、中国からの10万人に続いて2位となっている。3位も増加傾向にあるネパールからの2万人だ。コンビニでは、見慣れぬひらがなのネームプレートをつけた店員に一生懸命な日本語で「おはしとスプーンは、どうされますか?」と対応されることも増えた。昨年、在留資格を就労可能な「専門的・技術的分野」の資格に変更して日本企業に就職した留学生は26万人中2万人だ。採用時に重視されるのは「コミュニケーション能力」と「日本語力」が共に50%を越えている。「協調性」は25%程度、「異文化対応力」は15%程度である(MUFG2018企業が留学生に求める資質)。どうやら、文化的要因よりも「日本語でコミュニケーションできる」かどうかが大きな壁となっているようだ。
さて、漢字と平仮名・片仮名、外来語やアルファベットまじりの日本語を短い期間に理解することは無理があると誰もが思う。少しばかり、平仮名かローマ字で全てにルビ(読み)をつけるか、全て平仮名かローマ字表記にして、日本語を読み書きしやすく、私たちの方から歩み寄ってはどうだろうか。
「日本(にほん)は社会発展(しゃかいはってん)のため、日本(にほん)で働(はたら)きたいと願(ねが)う移民(いみん)の人々(ひとびと)と多文化共存(たぶんかきょうぞん)の社会(しゃかい)ヘ大(おお)きく舵(かじ)を切(き)った。」
「にほん は しゃかいはってん のため、にほんで はたらきたい と ねがう ひとびとと たぶんかきょうぞん の しゃかい へ おおきく かじ を きった。」
「Nihon wa syakai-hatten no tame, Nihon de hataraki-tai to negau hitobito to tabunka-kyōzon no syakai e ōkiku kaji wo kitta.」
もちろん、「日本は社会をよくするため、日本で働くみなさんと一緒に生きる社会をめざすことにした。」とやさしい日本語を使い分けることも必要だろう。
「グローバリゼーション=英語」とだけ狭く考えるのではなく、我が国の伝統と文化を守りながら、未来に向かってどれだけ自己改革できるかも「懐の深さ」なのかもしれない。(2018年7月25日@nortan)