フランスは19世紀末には欧州から、1960年代からは旧植民地アルジェリア・モロッコ・チュニジアからも移民を積極的に受け入れた。国内では文化や社会衝突もあり「フランスをフランス人に取り戻す。」と主張する勢力も台頭してきている。そのフランスが20年ぶり2度目のワールドカップ優勝。フランスメディアは「多民族社会であることの勝利だ。」と歓喜した。その後、「選手の多くはフランス人には見えないが、まちがいなくフランス人で、フランスの誇りだ。」と聞いた時「?」を感じた。一方、ドイツは2015年に100万人近い移民の受け入れをめぐってEU全体を揺るがした。そのドイツは、ワールドカップで敗退した。そして、一人のサッカー選手が「勝てばドイツ人、負ければ移民として扱われた。」と代表引退をツイートした。確かにスポーツの国際大会には、国民を文化などの違いを乗り越え熱狂させる力がある。しかし、優勝すれば「誇り」、負ければ「移民」では悲しい。
さて、我が国も社会を維持するため、現在128万人の外国人労働者を受け入れている。これは、増加傾向にある。21世紀は再び移民問題と向き合わなければならないだろう。仏独よりも古い時代、弥生~奈良時代に多くの渡来人を受け入れ、文化と社会を発展させてきた日本社会。我が国には、共に社会を発展させていくという「懐の大きさ」があるはずだ。(2018年7月24日@nortan)