98、水ノ国

国連最新予測によると2055年には世界人口が100億人を越える(1万年前の1万倍、31年前から2倍)。その全人口が米国なみの生活を維持するには、地球5個分の資源が必要だという。運の良いことに、2013年シェールガス革命により地下資源枯渇のタイムリミットは約100年伸びたというが、「水資源」は増えていない。発展途上国では、水道設備などのインフラ整備も課題で、海外企業がチャンスと参入しはじめている。日本では水インフラは公共(設備)事業であるため、設計から設備・運営までトータルで支援できる民間企業が育っておらず、海外「水メジャー」に太刀打ちできていない。しかし、海水淡水化技術ではトップレベルの実力を持っている。福岡の「まみずピア」では、逆浸透方式で5万㎥(25万人分)/日と日本最大の規模を誇っている。サウジアラビアなどで行われている「多段フラッシュ(蒸発と冷却)」技術もあるが膨大な熱エネルギーが必要で効率が悪い。石油資源大国だからこそ選択できる方法だ。また、イスラエルでは、逆浸透膜方式で淡水化した水を利用後の下水を85%近く潅漑用に再利用している(日本は2%程度)。下水再利用は海水淡水化コストの1/3ですむとはいえ、これを飲用にするには火星に移住するほどの決意がいる。

このように、水資源獲得競争と海水淡水化の時代は始まっているのだ。以前、知らぬ間に日本の水源地が外国資本に売られていたことで「これでは、いけない!」と話題になったことがある。水道水を日常的に飲用できる私たちは、水資源の貴重さを忘れていたようだ。『地球上で人間が使える淡水は2.5%で、飲用に使えるのは1%に満たない。』水インフラの輸出では海外「水メジャー」に太刀打ちできていないが、国内でペットボトルの水を大量に生産し輸出することはできる。水は「ただ」ではなく資源なのだ。カジノをつくるのもいいが、世界中に「おいしい水」を届ける「水資源大国、日本」になるのはどうか。(2018年7月23日@nortan「おいしい水」でTOKYO2020おもてなし)

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