95、黒と赤のスイミー

49歳から孫のために絵本の製作をはじめたレオ・レオーニ。1999年までの40年間に約40冊の絵本を発表した。「スイミー」は1963年に出版され、1977年からは谷川俊太郎訳で知られるようになった。仲間と違って色の黒いスイミーは、泳ぎが得意だった。海の底を彷徨ったスイミーは、食べられた赤いきょうだいとそっくりの新しい仲間に出会う。そこではリーダーとなり、力を合わせて大きな魚を追い出すことに成功する。さて、想像してみよう。スイミーの遺伝子は受け継がれ、世代を重ねるごとに黒い魚が増える。赤い魚が全て黒色になった時、一匹だけ赤い魚が生まれる。赤いスイミーは岩かげに隠れるのが得意。黒いきょうだいたちは泳ぎが自慢で油断し、大きな魚に食べられてしまう。海の底を彷徨った赤いスイミーは、別の黒いきょうだいたちを見つけ、隠れることを教える。そして、赤い世代を増やしていく…。さて、レオーニの黒いスイミーと想像の赤いスイミーからのメッセージは「あなたに人と違うところがあるのなら、それは時代の要請だ。」にちがいない。人と同じであることだけを良しとする価値観は、変わらなければならない。(2018年7月15日@nortan)

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