71、トリアージ(ュ)

第2次世界大戦時、野戦病院では再び戦える兵士が優先されていた。回復不能な兵士は印をつけられ、治療は後回わしとなった。戦争効率化システムがトリアージであった。そのトリアージが、災害医療で見直されているという。緑・黄・赤・黒の4色のカード。容態にあわせてカードが切りとられていく。歩けるか?→A呼吸しているか?→B呼吸数はどうか?→C脈はどうか?→D意識レベルはどうか?→E治療不能と、フローチャートによって色判定される。緑なら待機、黄なら準緊急治療、赤なら緊急治療、黒なら死亡又は治療不能。緊急性の高い者から治療されるシステムだが、時には「助かる見込みのない重傷者を見捨てる非人道的システムにもなりうる。全ての患者を救うという職業倫理に反する。」と批判する医者もいるようだ。(平時にもそんな医者と出会いたいと思う。)愛する者の治療が設備的にも人的にも不能で後回わしとなった割り切れなさを想像する。しかし、大災害時には仕方がないシステムかもしれないとも思う。サンデル教授が投げかけるように、「最大多数の幸福」を優先させることが、公共の利益にとって合理的判断なのだろう。さて、ヒーロー映画で、巨大な悪が街を破壊し人々を大混乱に落とし入れている時、ヒーローの優先救出順位はヒロインである。救出の最中に役名もセリフもない人々が苦しんでいることを想像するが、ヒーロー(Hero)にトリアージは関係ないのだろう。当然ヒーローの能力にも限界があるし、人々に「申し訳ありません。しばらくお待ち下さい。」と謝罪してからヒロイン救出に向かい、間に合わなかったというヒーローも残念である。そもそも、彼はヒロインにとっての「He-Law」であり「We-Law」でない。だから、トリアージュ(とりあえず)、私たち(We)で大災害に備える法(Law)を整備し、スーパーマンに任せるのではなく、皆で助けあえるようにすることが現実的だ。(2017年12月4日@nortanスーパームーンの夜)

コメントを残す