楕円形の宇宙船が言語圏ごとに現れた。ただ静かに浮かんでいるだけ。各国の言語学者が謎の言語を解読し、コミュニケーションを試みる。…そして、雲のように消えてしまった。始まりと終わりだけを語ると静かな映画だ。派手な戦闘シーンがあるわけでもない。娯楽映画で癒されたい時は、視聴を薦められない。例えるなら、SF映画の型を借りた哲学書であり、見る者に問いかけてくる。まず、「言葉の壁がなくなれば、人類はひとつ(平和)になれるか?」「言葉の構造が変われば、思考も進化するか?」という問い。次に、「未来の出来事が見えても、今を懸命に生きることができるか?」という問いである。結局、宇宙船の住人は「300年後に、人類の力が必要になる。」とメッセージを残して消えてしまう。「私のメッセージヘの答えは?」と何度も繰り返される余韻が、心地よい。(2017年11月27日@nortan)