68、飛去来器

飛去来器とはブーメランのこと。弓矢が発明されるまでは狩猟用や武器として使用されていたもので、オーストラリアのアボリジニが使っていたことで再認識され、アボリジニの民族としてのシンボルとも理解されるようになった。また、手元にもどってくるものは軽量で狩猟や戦闘にはむかず、戻ってこない重量ものをカイリーと言って区別する。カイリーの方が「お帰りー」と戻ってきそうだが、それを手で受けとめたら、投げた自分が大怪我をしてしまう。対して、ブーメランは鳥の群れを乱すため、空に向かって投げられたようだ。近頃、自らを辞任に追い込むなど幾つか話題になった出来事は「カイリー」であったり、世論を乱すための「ブーメラン」であったりしたのだと思う。「ブーメラン効果」を心理学的に使うと「懸命の説得にもかかわらず、説得される者の考えが反対になる現象」である。そもそも説得する者とされる者に意見の対立がなかった時や説得者に人徳がなかった時に起こるようだ。味方になるはずの者を説得して敵にまわしてしまうのは大失態。歴史の中にどれだけあったか想像してみると、アボリジニだけでなく私たちもブーメランの使い手なのかもしれない。さて、人に贈った言葉が戻ってきた。「これだという夢が見つかったら、そこに向かって思いっきり、惜しみなく努力を積み重ねて下さい。」この言葉を机に貼って勉強し試験に合格したという嬉しい手紙だ。受け取った時「夢を必死に追いかけているか!」と聞こえてきた。10年前に贈った言葉。私もブーメランの使い手であった。(2017年11月26日@nortan)

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