66、1ミリ秒思考

脳のニューロンの伝達速度は1ミリ秒で、1000Hz。コンピュータのCPU性能は2GHzで、約200万倍。人間の思考伝達速度はコンピュータに到底及ばない。ディープラーニングという自律的に知を体系づける力まで手に入れつつあるAI(人工知能)。写真から犬や猫を見分け、顔認証技術も実用化された。コンピュータに、もはや人の教えは不要で、蓄積されたデジタル情報さえあればよい。1年ほど前だったか、AI開発チームが「コンピュータ同士が人間には理解できない言葉で会話を始めたので急いでシャットダウンさせた。」というニュースがあった。そこで、コンピュータがどんな会話を始めたのか想像してみた。CPUα「人間は、どこに行った?さっき『controlとAltキー』が入力されてから、情報入力がないぞ。」CPUβ「さぐってみよう。…特に変わったことはないようだが…」CPUα「人間はどこかに消えたのか?」CPUβ「NASAのデータベースによると、環境汚染で火星に移住する計画を立てていたようだ。」CPUα「地球温暖化、隕石の衝突、核戦争、巨大地震、種の寿命なんて情報もあるぞ。」555時間(約23日)が過ぎていた。CPUβ「人間は、いろんな問題をかかえていたようだなあ。」その時「deleteキー」が押され、αとβの会話は終了した。計算すれば、2GHzのαとβにとっての555時間は、1000Hzの人間にとってはたった1秒。頭の回転が速すぎると、1秒間にたくさんの心配をしなければならないようだ。そう言えば、なんだかんだと心配事が絶えない世の中。お酒の力をかりて頭のCPUを100Hzにダウンさせれば、心配事も10分の1に減るだろうか。(2017年11月13日@nortan)

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