自分には理解できない力がある。一つは「コリオリの力」である。台風の風が、北半球では左回りに中心へ吹き込む原因でもある。地球が自転しているので、地球の表面にへばりついている私たちには「見えない力」だ。実験では、回転板上で円周から中心にボールを転がした時の軌道が、外にいる者には直線に見えても板上の者には右に曲がって見えることで確かめられる。陸上競技でトラックを左回りに走るのは、右回りだと知らずのうちにトラックラインを内側に踏みこえてしまうことを避けるためだろうか。それとも、ランナーが前の走者を右から追い越しやすくするためだろうか。どちらにしても、走者には理解できない力が「コリオリの力」である。以前、「このまま、首走者を勝たせていいのですか?」とレースに参戦した自信満々のランナーが失速してしまった。観客の応援の過半数を得る予定であったが、結局スタート地点にも立たなかったとも考えられる。立たないのであれば負けたことにならぬのかもしれないが、世紀の対決を期待していた者には残念である。これもまた、「コリオリの力」が働いたのかもしれない。いや、待て。走らないのであれば、コリオリの力も働かないはずだ。さては、チーム戦であるリレーを独走しようとしたことが原因かもしれない。この力を「(独裁)コリゴリの力」と名づけよう。さあ、大切な日を前に20年ぶりの超巨大台風も近づいてきた。彼女はこの力に気づいているだろうか。(2017年10月21日@nortan東京から帰る新幹線の中で)