浜田廣介さんの児童文学。初めてNHK教育放送の人形劇で出会った時には、青鬼の自己犠牲といえる友情に胸が痛くもなり、見た目ばかりで決めつけ赤鬼の本性を理解しようとすらしない人間に憤ったりもした。実に深い寓話だと思う。それから20年以上、あらためて読み返す機会があった。今度は、親友である青鬼の提案を頑として断らない赤鬼と、自己ヒーロー感に酔いしれているかもしれない青鬼に違和感を覚えた。読む者の「写し鏡」と言ってしまえば、人生を重ねた心境の変化かもしれない。人の先頭に立とうとする者は、座右の銘とし、常に心の鬼と対峙していてもらいたいと思う。偶然にも鬼の己羅夢が続いた。ところで、青鬼は何処へ行ったのだろう。(2017年10月8日@nortan)