55、必然?考

微生物が膜を形成し単細胞生物となったのは、自らを守る(生きぬく)ための必然か。単細胞生物が役割を分担し協力することで多細胞生物ヘ進化したのは必然か。爆発的に多様化した海中の生物が陸をめざしたのは、海中での生存競争を生きぬくための必然か。陸上の生存競争の頂点に立った恐竜が鳥へと多様化(進化)したのは、隕石衝突で劇的に変化したといわれる環境から絶滅を逃れるための必然か。その後、身体機能では肉食動物に劣るヒトが、知恵と文化と驚異的拡散能力によって生物界(哺乳類)の頂点に立つことができたのは必然か。そのヒトが、科学という信仰で第2の地球を発見し、その惑星へ拡散していくだろうことも必然か。

昨夜、映画『パッセンジャー(ズ)』を鑑賞してきた。娯楽性としての評価は高低あるが、映像としての評価が高いのは納得。そこに、哲学志向として評価を加えた。光速の1/2の速さで60光年先のコロニー(植民惑星)に向かう5000人の移住者たち。120年の冬眠のはずが、30年で目覚めてしまう主人公。送信したSOSのメッセージへの回答が届くのは50年後。再び冬眠に戻ることもできない。1年間の孤独に耐えた主人公の決断と、それによって背負うこととなったもの…その他の巨大生物や宇宙人が登場する娯楽作品より、近未来のリアリティを感じた。SFならずとも「浦島太郎」のような昔話でも、物語の形をかりて哲学(生き方)を問いかけてくる。故に、観賞したヒトの数だけ答えもでるのだろう。21年目の結婚記念日を前に、私は妻への感謝と人類の必然や叶わぬかもしれぬ未来を感じた。「○○ファースト!」と叫ぶのではなく、共存・多様化(非絶滅)の道を歩みたい。(2017年3月26日@nortan)

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