50、境目

30年前に結ばれたシェンゲン協定は、EUで国境を越える往来を自由にすることとなった。今ではEU近隣国の参加もある。そしてドイツでは、政策もあって人口に占める移民数は13%を越えた。我が国で当てはめると1500万人となる驚くべき数だ。フランスなども然り。EUの理想は、人ロ移動によって世界をひとつにするかもしれないが、我が国はもっと緩やかに・穏やかにと願う。そして、我が国の素晴らしい文化を…と考えて、自身の「境目」へのこだわりに気づく。そこで『境目』について考えた。例えば、土地の境は「県境」これは歩いて乗り越えられる。時間の境は「過去と未来」これは必然的に流れる。人の境は「私とあなた」これは相手を大切に思うことで通い合う。空と大地の境は「地平線」これは眺めれば存在するが、追いかけても逃げてしまう。いろいろな境目があるものだ。今、EU諸国は自由と排除の天秤、結束が試されている。一つ目の原因は、シリア内戦泥沼化による難民の受け入れ問題。二つ目の原因は、UK(イギリス)のEU脱退問題。前者はEUへの加盟をめざすトルコの働きかけが突破口となる可能性があるが、後者は不安要素が大きいようだ。結果次第では、我が国も大きな影響を受けかねない。先日、伊勢志摩サミット後の記者会見では語られなかったが、おそらく最重要議題だったはずだ。日常では、関心事を芸能ニュースにとられ、大切な「歴史の境目」に立っていることに気づかないでいるのかもしれない。さて、もう一つの境目に気づいた。毎朝目覚めることとベッドに入って目を閉じることの「夢と現実」ではなく、現実や理想の実現から目を背けるかどうかの生き方。日々の生活でも、どう「苦境」という境目を克服すべきか悩みはつきない。時には夢の世界に逃げこみたいこともある。「夢の世界とシェンゲン協定を結べばよいだろうか。それとも、チケットを買って入園ゲートをくぐればよいだろうか。」と境目のない老眼鏡をもつ年齢になった自分にぼやいてみる。(2016年6月12日@nortan)

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