「とにかく目標を達成しろ。やり方は、お前たちが考えろ。」これが日本が誇る会社の経営トップの言葉として真実なら、その企業は謝罪会見という絶滅を待つしかなかったのだろう。「競争なき社会は、堕落をもたらす。」「世界を相手に勝ち残る力が必要だ。」と単に競争を煽る風潮。「性能はより便利に、価格はより安く」というプレッシャー。圧倒的な格差を埋める力が自社にないことが分かった時、嘘と誤魔化しが誕生する。それは、「とにかくよい点をとりなさい。さもなければ…」と厳しく言われて、結果を出せなかった子どもがとった行動そのものである。内なる競争意識は大切でも、トップダウンの競争戦略が、結局は高い生産性をうまないという事実は認識されるべきである。何のための競争なのか。『めざすもの』は何なのか。今より世界が凸凹でMade in Japanがブランド(一人勝ち)であった疑似競争社会の頃は、競争を煽る雰囲気だけでも成果は出たのかもしれない。世界がフラットになり本当の競争社会となった今、「めざすのは○○だ。そのために必要だと考えることは何でも相談してほしい。」このように懐の広いビジョンを、トップは示したいものだ。経営者に求められる力は、権力を振りかざす傲慢力ではなく、目標設定力・推進力であり、社員に夢を見させて奮い立たせる力だということがはっきりした。そういう点でApple社のジョブズはカリスマだったのだろう。恐竜は鳥類に進化して、絶滅を生き延びた。我が国の誇るべき企業が鳥へと進化し、再出発してくれることを願う。さて、私は経営者ではないが、自分という会社の「小鳥」になろうと思う。(2016年5月22日@nortan)