39、一方的な貢献

30年ほど前から、アメリカ東海岸のカブトガニは年に60万匹ほど捕獲され、30%の血液を抜き取られて海に戻されている。3%ほどの個体は、この強制的な献血で命を落とすという統計も出ているが、「人類のために貢献できている。」と一方的評価を与えている。青色の血液が、ワクチンの細菌毒性検査試験として45分ほどで結果を出すのだ。それまでは大量に飼育したウサギの中から健康状態のよい2~3匹に、細菌が含まれると予想される溶液を注射し、体温が上昇したら汚染されたワクチンだと1日以上かけて判断していたそうだから、素晴しい発見である。そして、3億年も前の古生代から地球環境の変化にも耐え『生きた化石』と呼ばれるカブトガニは、食料として質と量、味の魅力にも欠けたことも理由として絶滅請負人である人類の時代にさえ絶滅しなかったのに、ウサギなどの実験動物に多少の安堵感を与えつつ、今絶滅に向かい始めているのかもしれない。ちなみに、瀬戸内海に生息する日本カブトガニは干潟の減少等を理由に絶滅危惧種である。また、同様に生きた化石であるゴキブリは国立虫類環境研究所によると1兆匹、人類の200倍の個体数だそうだ。何かしら人類に貢献できる潜在能力を発見しない限り、絶滅への道は遠い。いや、人類の生息環境がゴキブリに貢献しているのかも…と考えて、「400万年前から、人間はゴキブリのカブトガニであった。1人で200匹に貢献しているとは、さすが人間!」と一方的に評価してみた。(2016年5月3日@nortan)

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