24、鬼怒鳴門

鬼怒鳴門、ドナルド・キーン博士が遊び心で名刺にかかれた漢字名だそうだ。東日本大震災後、多くの外国人が放射能汚染を恐れて帰国しはじめていた。そのタイミングで、博士が日本国籍を取得し日本に永住することを決意されたとのニュース。「なぜ、日本人になるのか。ならなくても、想いは充分伝わる。」と感じていた。昨日、キーン博士の自伝を読んだ。幼い立ちからはじまり、太平洋戦争で海軍日本語学校への志願、日記解読作業で南の島に散った日本兵の心との出合い、日本文学研究や著作・翻訳活動を通して三島由紀夫などの多くの文学者たちとの交友など、自伝は震災の数か月前で終了しているが、日本と米国を往来する毎に深まっていく我国への思いを感じた。『日本人になる』という言葉が重みを増した。我々は日本で生まれたから「日本人である」が、この国で生活しながらその文化を本当に理解し、大切にしてきただろうか?博士の自伝は、そう問いかけできた。博士は日本に帰化された時、「鬼怒鳴門」ではなく「キーン・ドナルド」と片仮名を選んだ。無理矢理、漢字を当てるより、仮名文字こそ日本文化と見ぬかれたのだろうと思う。世界中の文化は優劣つけられるものではないが、博士のように外から見る視点も大切にするからこそ、日本文化は輝くのだろう。先日、平和で豊かな日本(世界)のために自分にできることを話しあった。ひとつ答えが見えた。「ある」を卒業し、日本人になろうと思う。(2015年12月20日@nortan)

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