19、虹

季節はずれの大荒天の後、大きな虹がでた。赤燈黄緑青藍紫(せきとうおうりょくせいらんし)と七色、外環から内環へと色鮮やかだ。もし並び方がさまざまなら、雨あがりに 7×6×5×4×3×2×1 = 5040通りの虹を見ることができる。「今日の虹は、青燈藍緑黄緑紫だったよ。」と会話もはずむだろう。1か月に1回、今までと違う虹に出合う幸運があるとしても、全種類を見るのに 5040÷12= 420年かかる計算となるから、世界虹記録機関WRRO(World Record Rainbow Organization)なんて組織もできるかもしれない。しかし、虹はいつも1通り。内側にできることのある副虹の逆順を含めても2通り。2色、4色、5色、欧米では6色、日本は青と紫の間に「藍色」が入るという文化の違いはあるが、写真に写る色は、自然の法則そのものである。……ところが最近、白金のドレスが青黒のドレスに見える画像に出合った(人によっては逆)。眼の状態や年齢による違いではないそうだ。新鮮な驚きだった。自分は人と同じ虹色を見ていないかもしれない。端から七色とか赤…紫とか決めつけないで、虹が出たら「何色見えた?何色が見えた?」と語り合うことからはじめなければならないのかもしれない。インドネシアでは、虹の色は赤黄赤緑赤青赤と見る民族もいるそうだ。当たり前と思っていたことが実は違う。自分とはちがうかもしれないという当たり前の認識から出発しなければならない。見える色も数も順番違えば、5040通りどころではない。そんなことchase after rainbows (実現しそうにない夢を追うこと)だよと、ステレオタイプな概念に安心するのではなく、互いのちがいを尊重できる世界虹人権機関WHROR(World Human Right Organization in Rainbow)を心の中に設立しようと思う。(2015年12月12日@nortan)

コメントを残す