受験情報紙を飾る73歳の大学生。インタビュー記事には「日本には参考書がない。みんな説明書で、ちっとも覚えられない。だから、自分で作っちゃった。そしたら、楽しくって、勉強が遊びになっちゃった。」子どもの頃、放送を楽しみにしていた「欽ちゃんのどこまでやるの」の萩本欽一さんらしい言葉だ。「ぼくは、就職は関係ないから、人生に本当に必要なことだけ学べる。単位を落としても、また学べると思ったら楽しい。」とも語っていた。30年前に祖母が「なかなか覚わらんけど、楽しみだ。」と中1数学講座の再放送を何度も根気よく視聴していたことを思い出した。「学び」の目的は何なのだろうと改めて思う。よい高校に行くため、よい大学に行くため、よい就職をするため…と、よいよいを繰り返すが、誰にとっての「よい」なのか。それをはっきりさせないから「自分に本当に必要なこと」を後まわしにしているのかもしれない。欽ちゃんのインタビューを「はい。」と手渡してきた娘も受験生。昨年、息子に言ったように「自分のやりたい道に進めばいい。」と見守ってやりたい気持ちが揺れ動くが、決めた。「子日く、四十にして惑わず。」天命を知るには少しばかり早いが、人生の学びを楽しむ姿を、欽ちゃんや祖母のように見せてやろう。子は、親の姿を見て決めればよい。(2015年12月6日@nortan)