13、この空を飛べたら

聴きたくなる曲がある。「ああ、人は昔々、鳥だったのかもしれないね。こんなにも、こんなにも空が恋しい。」とは中島みゆき作詞作曲の加藤登紀子の名曲。37年も前に発表されたのに、心の中に染みこんで、時に瞳を湿らせる。少しさみしいメロディーと歌詞が、バラバラになりそうな心に重力を取り戻してくれる。重力といえば、地上においては9.8ニュートン(N)/kgの力で、万有引カと地球の自転による遠心力との合力、地球の中心に向かって引っ張る。しかし、素粒子物理学では強い力・弱い力・電磁力につぐ4つめの未発見の力で、いちばん弱い力、重力子(グラビトン)だと考えられている。大きな世界(宇宙)と小さな世界(原子)を統一すると期待されるひも理論である。「重力が一番弱い?」と疑問に思うが、そうでないと足の裏を構成する原子が重力に負け、地面を構成する原子どうしのすき間にめりこんでいくのだそうだから恐い話である。そうならないのは、足の裏と地面の間に「原子レベルの空」があるから。「ああ、人は、そう考えると、鳥なのかもしれないね。こんなにも低いけれど、空を飛んでいる。」曲を聴いて、ちょっぴり元気になったら、両手を広げて再び希望の空に羽ばたこう。(2015年12月1日@nortan)

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