8、チップ

Tipとは、英語圏では「To Insure Promptness」と書かれた箱を「サービスを早く受けたい客」のために置いたことが始まりとされ、仏語圏と独語圏 では「これで一杯飲んでくれ」と金銭を渡したことが始まりとされている。我々の文化でいえば、優待料や心づけに相当するものだと理解できるが、両者の意味合いは大きく異なる。極端に言えば「私は特別扱いの客だ。」と「あなたの心づかいに感謝します。」になるだろう。東西文化の違いだろうと思っていたが、どうやら西洋ではもっと繊細な問題らしい。ロサンゼルスのレストランでクレジット支払いをした人物が、チップ記入欄に金額ではなく、払わないといった言葉を記入して店を出ていった。チップを払わない理由を語源からのみ考えると「私は特別扱いではなかった。」か「あなたに感謝するようなサービスは受けていない。」となるのだろうが、「アメリカ国民にしか払わない。」と書かれていたというから、背景は移民問題や差別問題ともかかわり複雑である。チップ文化ゆえに、労働対価が低く設定されていることも多いそうだ。日本では料金にサービス料が含まれるからTipを渡す文化は廃れたと言われる。しかし、レストランで支払を済ませる時に「ありがとう。」「ごちそうさま。」と客側からも声をかける文化はまだ廃れていない。サービスするとされるの関係にこだわらず「お互いさま」の文化。西洋文化からすると奇妙なのかもしれないが、もしチップ欄に「ありがとう」と記入していたらどうだったろうか。日本でしか生活したことのない私には推し測れない文化の違いがあるのかもしれないが。(2015年11月20日@nortan)

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