7、有理数

有理数は、rational number[英語]であり、その意味からは有比数と訳されるべきであったと言われる。そうであれば、対する無理数が何だかとっても困った数のように聞こえてしまう心配もなかったであろう。三平方の定理として知られる古代ギリシャのピタゴラスは「すべての数は、有理数である。」ことを教義とし、それに反することを唱える弟子たち排除していった。正方形の対角線が√2を含む無理数となることを知っていたこと、実数のほどんどは無理数であることとを考えると、なんとも自らをも縛る狭い教義をたててしまったことかと思う。私たちは自らの行動を決める時に、何らかの信念、信念とまでいかなくとも考えを拠り所とする。「それが全てを解決してくれる。」この思いが安心感を与えてくれる。そう考えると、ピタゴラス先生の強情にも心理的な理解は示めせる。当然の如く、後にプラトンが平方数以外の平方根が無理数であることを予想し、アリストテレスもπが無理数であることを予想し、ついには証明もされてしまった。ピタゴラスの安寧はやぶられたが、知の追究としての寛容さが真実の発見につながった。古代数学を現代数学へと発展させた。人生も然り。少し行きづまった時には「無理をする」のではなく「無理も認める」思考や寛容さで新しい道を探してはどうだろう。(2015年11月20日@nortan)

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